そこまでしてなぜ攻める?ロシアがウクライナ侵攻をあきらめないワケ

泥沼の様相を呈してきたロシアのウクライナ侵攻。苦戦が伝えられても、ロシアは一向にあきらめる気配を見せません。

なぜそんなにこだわるの?

そこで今回は、ロシアとウクライナの当事者同士にしかわからない微妙な関係について考えます。

 

 

ロシアがウクライナを攻めるワケその①  政治的理由

問題の始まりは、米ソ冷戦時代にまでさかのぼります。

西側陣営のNATO(北大西洋条約機構)

東側陣営のワルシャワ条約機構

という2つの軍事同盟が対立軸でした

 

しかし、1989年の冷戦終結に伴い、91年にワルシャワ条約機構は廃止、同年にソビエト連邦が崩壊します。

つまり、NATOが勝利した形になったわけです。

 

この時、アメリカのベイカー国務長官は、ソ連のゴルバチョフ書記長に対して、

「NATOは東側へ1インチも拡大しない」と、NATO不拡大を確約しました。

 

にも拘わらず、かつてのワルシャワ条約機構の加盟国は次々とNATOに加盟していきます。アメリカは態度を翻してこれを容認してきました。

 

これが火種になっています。

 

ちなみにロシアも、2000年にプーチン大統領がNATOへの加盟を打診しますが拒否されています。

つまり、ロシアにとってNATOは今でも敵対的軍事機構なのです。

 

 

一方のウクライナは・・・

 

1991年のソ連崩壊に伴い独立

それ以来ずっとNATO加盟を検討してきました。

まあ、ワルシャワ条約機構やソビエト連邦という庇護者がいなくなったのですから、軍事的保障を求めるのは理解できますよね。

 

それ以来、大統領が変わるたびに、親ロシア派とNATO加盟推進派がせめぎ合ってきました。

 

そんな中、

 

2014年にウクライナ騒乱が勃発

第3代大統領ヤヌコビッチ氏(親ロシア派)がEUとの貿易協定調印を見送ったことがきっかけでした。

ヤヌコビッチ氏はロシアに亡命します。

 

この政変の結果、親ロシアのクリミアがウクライナからの独立を宣言(ウクライナは共和制国家です)、ロシアがクリミアを併合します。

 

そして第4代、第5代と次第に西側にかじを切り、

ついに第6代ゼレンスキー大統領がNATOへの加盟を公約したのです。

 

 

もしウクライナが正式にNATOに加盟したら、

ロシアとウクライナは国境を接しているので、NATOがロシアの足元にまで迫ってくるのです。

 

それだけは受け入れられないと、プーチンは以前から警告していました。

 

 

ロシアがウクライナを攻めるワケその②  経済的理由

ロシアには、厄介な問題がひとつあります。

世界の再生可能エネルギーへのシフトです。

 

ロシアは資源大国です。

原油はアメリカ、サウジアラビアに次いで世界第3位、

天然ガスもアメリカに次いで世界第2位。

 

ロシアの経済は原油価格に依存しています。原油が下がれば国家財政は赤字に転落、上昇すれば黒字に転換します。

 

今後、石油の需要が減れば、ロシア経済は成り立たなくなるでしょう。

 

中東各国は既に、これまでの原油資金を活用して将来の収入確保に動いており、その中には太陽光エネルギーの活用が含まれています。

 

大体、中東は世界屈指の日射量があるので、この分野は非常に有望です。

 

しかしロシアは基本的に寒冷地で天候が悪く、この分野ではあまり期待が持てないのです。

 

ロシアにとって今はチャンスです。

 

今は過渡期で、欧州各国は石炭火力を減らしてゆけば、その分天然ガスに頼るしかありません。

 

だからロシアからの天然ガスパイプライン

「ノルドストリーム2」

を無視できないのです。

 

今なら、ロシアは欧州に対して強気に出られる

自分たちの目的を達成するなら、今しかないのです。

 

 

 

ロシアがウクライナを攻めるワケその③  民族的理由

 

おそらくこの理由が一番大きいのではないかと思われます。

 

2021年の7月、ロシアの公式ホームページにプーチン大統領の論文が掲載されました。

論文の題名は

ロシア人とウクライナ人の歴史的な一体性について

 

旧ソ連諸国の中で、ロシアとウクライナ、それにベラルーシの3国は特別です。

 

プーチンをはじめロシアの人々は、

ロシア人を「大ロシア人」

ウクライナ人を「小ロシア人」と呼びます。

ベラルーシの国名は「白ロシア人」です。

 

この3国は起源とする国が同じなのです

それは9世紀に存在した「キエフ大公国」

 

古代からいわゆる「ロシア」は様々な変遷をたどっていますが、この「キエフ大公国」こそが祖と言われています。

 

キエフ大公国を正式に継承しているのは現ロシアであり、かつての大公国の領土すべてを統合してこそ、自分は真のロシア皇帝と呼ばれる

これがプーチンの考えです。

 

つまり、本音を言えばプーチンは、ウクライナ国家の存在など認めたくないのです。

ましてウクライナがNATOに接近して独自の道を歩むなど断じて許せません。

 

 

 

一方、ウクライナはその国名からしても、自分たちこそロシア大公国の正式な継承国だと考えています。

 

ロシア民族のアイデンティティにかかわるこの問題は非常にセンシティブで、恐らく当人たちにしか本当には理解できないでしょう。

 

 

一つ言えるのは、プーチンやロシア国民の多くはウクライナをあきらめないだろうということです。

 

それは、いうなれば日本が、北方領土を自分たちの国の一部として決してあきらめないのと似たようなものなのです。

 

 

ロシアのウクライナ侵攻についてのまとめ

 

如何だったでしょうか。

今回はロシアのウクライナ侵攻の背景にあるものについて考えました。

 

まとめると

 

  • NATOとの政治力学にかかわる問題
  • 世界的な再生エネルギー問題との関係
  • ロシア人の民族アイデンティティにかかわる問題

 

の3つでした。

こうした泥沼の問題山積の中で、いまも懸命な停戦交渉が行われています。

 

予断は許しませんが、一刻も早い戦争終結を心から願います。

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